(つづき)


彼はしどろもどろになりながら、なんとか電話を切られないように
話を続けていた。ハッキリと焦りを見せているダーリン・・・。

うーん快感。

不思議に怒りは全く感じなかった。
楽しかったのね。そう、よかったわね・・・そんな感じ。
好きなら嫉妬するはず?あら…私ったら、もしかして
ダーリンのことそれ程好きでもないのかしら。
・・・なーんてね。(笑)

彼の浮気を楽しむ余裕というのは、「自信」から生まれるもの。
愛されている自信?あらイヤだ、ワタクシそんな傲慢ではございませんの。

私はこれ以上ないというほど彼を愛している。彼を深く理解している。
彼という人物を知り尽くしている。誰よりも彼の力になっていると
自負している。この私より別の人がいいと言うんなら、行けばいいのよ。
そう。ダーリンは私から離れられない。私は自分の愛に自信があるのだ。

今回は過去の浮気とは違うパターンだし、このまま見過ごして
いたら、彼の気持ちがどうなったかは微妙。だが現時点では
私と相手を比べるまでもなく「浮気心」の域を出ない出来事でしかない。
もっとも彼が、相手と私を同列に置いて比較するつもりならば
こちらから願い下げであることは言うまでもないが。
 
「で、あなたは一体どうするつもり?
 すっかりあなたになついてしまっている様子の彼女をどうするの?
 あなたはどうしたいの?」

・・・・沈黙。
 
ごめんなさいね、可愛い声のアナタ。
でも、彼に関わるのは感心しないわ。
あなたには手に負えない男よ。
これから何度も泣く羽目になるわ。
不倫なんて、何もいいことは無いのよ。
それに同じ不倫をするなら、もう少し扱いやすい男になさい(笑)
大丈夫よ。今ならまだ、傷付かずにオワリにできるわ。

…なんて考えていると、彼が静かに言った。
「レイコと居たい。」

フン、当然よ。

「ずっとレイコのそばに居たい。
彼女には、ホントのことを話すよ。好きな女性が居るから
こんな風に連絡を取り合うのはやはりよくない、とね。」

あら…気に入らないわね。

今時の女は物分りがいいのよ?
「彼女が居てもいいから、これからも仲良くしてネ☆」なんて
言われちゃったらどうするつもり?
ズルいダーリンの思う壷じゃない(笑)

「彼女が居る男」だと相手に割り切ってもらって続ける…
よくあるパターンよね。今よりもややこしくなっちゃうわ。
まだ未練がありそうなダーリンに向かって、私は言った。

「私と居たいって言うなら、私の目の前で彼女に電話を
するのよ。ノーと言うなら私はあなたなんか信用しないし
これでお別れよ。」

またしても沈黙するダーリン・・・。

可愛いダーリン。まさか、この私がそこらへんのサレ妻さんみたいに、
本気でこんなことをさせるつもりだとでも思っているの??
そんな恥ずかしいこと、あなたにさせるワケないでしょう、まったく。

ダーリン。これはね、踏み絵なのよ。
「レイコの言う通りにするよ」というだけで合格なの。
逡巡しているのは、可愛い声の主に対するプライドのせい?
いじわるしてゴメンなさいね(笑)

やがて彼は私の提案を了承し、このくだらない一幕は
終演となった。律儀なところのあるダーリンは、「相手に
何て言えばいいかな」と考え込んでいた。呆れちゃうわね。
お好きにどうぞ。釘は刺したし、もう私には関係ないことよ。

肝心なのは、彼の心がどこに在るかということ。
私だって同じようなことは経験しているのだから
彼の心理も解らなくはない。

ギャンギャンがなり立てるなんて、最低ですわよ、オクサマ。
ま、これでしばらくダーリンが優しくなるのは間違いない。
留守電は時々聞くことにするわ。
可愛い声を楽しみにしてるわね、ウフフ。

そうそう!仕上げにベッドで涙を見せておかなくちゃ。
私の、か弱い一面に安心するダーリンのためにね♪
女は強さと弱さを兼ね備えていなくちゃダメなのよ(笑)

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