(つづき)

留守電、聞いた?
間違い電話みたいね。

そう笑って、ダーリンの様子を観察するなんてどうだろう。
どう言い訳をするのかを楽しむのもいいかもしれない。

でも・・・。
間違い電話だ、と言い切られたらそれまでだ。

私はもう一度、留守電に接続した。
甘く可愛らしい声が喋り始めると同時に、自分の携帯の
音声レコーダを起動して、その声を録音する。間違いなく
録音されたことを確認してから、今度はメッセージそのものを
消去した。そう、彼が聞く前に、だ。

彼はきっとこのメッセージを聞いていないはずなのだ。
私は、彼が今、フィットネスで汗を流していることを知っていた。
何度電話してもコール音のあと、留守電に繋がってしまうのは
そのせいだろう。私は時計を確かめて、彼が帰宅する頃を
見計らって電話をした。

「どうした?」いつも通りのダーリンに、私は間髪入れずに質問した。
「ねえ。あなたはさっき、誰に電話したの?」
もちろん、穏やかな声でゆっくりと・・・。

少し間があって彼が答えた。
「・・・・誰って・・・。○○社長と、△△さん、
ああ、それから□□にも。」

「それから?」私の問いかけに、彼は沈黙する。
そしてしばらくしてからこう言った。「それだけだよ。」

笑・・・・。

私は歌でも歌うかのように、囁いた。
「ねぇ。あなたは誰と話しているの?私は誰?
レイコよ、レイコ。曖昧な返事に納得する奥様なんかとは
訳が違うのよ(笑)言い逃れや嘘なんか、無意味よ。
さあ、もう一度聞くわ。誰に電話をしたの?」

溜息で答えるダーリン。そう、面倒なことになったものね。
可哀想に。あなたは霧の中に居るのと同じよね。
私が何を根拠に、そう問い掛けているかは謎だもの。

「どうしてそんなことを聞くんだ・・・?」

探りを入れても無駄よ、ダーリン。
手札を見せたら勝負になんか、ならないじゃないの。

「あなたが嘘をつくならそれでもいいのよ(笑)
でも言っておくけど、私はもう全部知っているのよ。
だからあなたが今からどういう嘘をつくのか、
どう言い逃れをするのか、ちゃんとわかるのよ。」

そうよ。私は解答を手にして、問題集を解いているようなものなの。
あなたの書いた答えは、すぐに採点できるのよ。
全問正解でも、落第しなくて済むかどうかは微妙だけど(笑)

合否判定はこの私がしてあげる。うふふ♪

(つづく)

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