奥様からのメール

2003年6月7日
今日の昼は、車で二時間ほどの場所にある、
美味しいと評判の蕎麦の店に行くことになっていた。
彼は蕎麦好きである。ふと思い立って信州まで車を飛ばし、
贔屓の店まで食べに行く…なんてことはざらにある。

車を走らせながら彼が言った。
「車で田舎に連れて行って欲しいと両親に頼まれたんだ。」
彼の田舎は車で4、5時間はかかる山奥なので、行くとなると
彼も一緒に泊まることになるかもしれない。

偶然にも来週末は私に予定が入っていたので、何の気なしに
「じゃあ次の週末にでも行ってくれば?どうせ会えないんだし…」と
言ってみた。ところが彼は、「次の週末はほら、おチビが居るから・・・」と
歯切れの悪いことを言う。

はぁ?

彼の子供は次の週末だけではなく、ずっと居るではないか。
「じゃあ、あなたは平日に行くつもりなの?」これも何気なく聞いた
のだが、彼は「いや…週末でないと無理だろうな・・・。」と言う。

変ね。

だから次の週末、行けばいいんじゃ・・・?と、言いかけると
「だから、それは・・・」と彼は言葉を濁して話を打ち切った。
私は、彼の両親の都合もあるのかもしれない、と適当に解釈して
話題を変えた。

「奥様から、何かメールは届いてるの?」
彼は暗証番号を押して、ロックを解除してから携帯を差し出した。

フフン、相変わらずくだらないメールばかりね。
「美容院に行くので二万円貸して下さい。
私の鞄を売って返します。」ですって!

馬鹿じゃないの?彼が大切にしていた本は、もっともらしく
「家のためにお金にしなくては」とか言っちゃって、二束三文で
売り捌いたくせに、あなたのバッグは「自分のため」に売るのね(笑)

妻は泣き言を連ねてはいるけど、切羽詰ってはいない。
つらいけど頑張っているの!なぁんてヒロインぶっているけど、
「梅雨だからストレートパーマしなくちゃ!」なんて考えてる悲劇の
ヒロインなんて、真実味に欠けるのよ、うそ臭いったらないわね。

そして…

次のメールに読み進んだ私は、横目で彼を見上げて呟いた。
「なるほどね」

(つづく)


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