美味しい空気

2003年5月5日
彼はいつも、疲れを感じると「緑が見たい」と言う。
自然に触れることが、彼のストレス解消法なのだ。
調停のことや仕事のことで、精神的に参っている彼は
今回の休みをとても楽しみにしていた。
彼は密かに行き先を考えていたようで、私と会った途端
朝まで待ちきれず、真夜中に車を走らせた。

ハイウェイを飛ばしてサービスエリアで休憩。
車を降りると空気はひんやりと冷たく、風は自然の匂いがした。
これからしばらくは二人きりの時間を楽しめるのだと思うと
開放感で一杯になる。愛しいダーリンも嬉しそうだった。

車中、色んなことを語り合う。
いつもと違い、心に余裕があるのでじっくりと会話に専念できる。
美味しい空気のおかげかもしれない。

あ!そうだわー!
奥様にも山の美味しい空気を吸わせてあげるといいのかも?
気持ちが落ち着いて、色んなことをちゃんと考えられるように
なるかもしれないわね。いつかお誘いしちゃおうかしら。

ついでにそのまま山に捨ててきちゃったりなんかして(笑)

今回の遠出で、一番楽しかったのはダーリンと二人で
モーターボートに乗ったこと。年老いた健康そうな操縦士が
勢いよく海上を飛ばす。気分爽快だわー♪

と、太陽の光を浴びて彼が笑顔で私に言った。
「レイコ、早く結婚しような。一緒に暮らそう。
俺たちはいつも一緒に居なくちゃダメだ。」

ウフフ。

私は天使のように優しい微笑みで答えた。
「離婚してから言ってね。」

ダーリンはがっかりした表情で言った。
「レイコ・・・どうしてそう、現実的なことを言うんだ。
そこは『そうね』と答えるだけでいいんだよ。」

(ダーリン・・・どうしてそう夢見がちなの?
こんな楽しいときに、陳腐な言葉を吐かないでよ)

と思いながら私は微笑んだ。

その後ふと思い付き、予定を変更して別の土地まで車を走らせた。
彼は臨機応変に行動する男だ。面倒がることを知らない。
いつでも穏やかに微笑んで、親切の限りを尽くしてくれる。

愛あればこそ、ね。

彼の愛は私のもの。
私の愛は彼のもの。

愛してるわ、ダーリン。

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