奥様のお誕生日
2003年4月22日今年の奥様の誕生日は、奇しくも彼が帰宅する予定の土曜。
奥様はきっと、したり顔で手ぐすね引き引き、彼の帰宅を
待っているだろうけれど、世の中そんなに甘くない。
私は彼に言った。
「ごめんなさい、今週の日曜はどうしても外せない用事があるの。
無理ならいいんだけど、土曜に会えないかしら?」
いつものように土曜に帰宅し、日曜に私と会うつもりだった彼は
私の申し出を快諾し、当然のように妻に連絡した。
あら。わざと用事を入れたりした訳じゃないのよ。
偶然ってあるのねー、本当に日曜は都合が悪いの、おほほ。
彼は、土曜日が妻の誕生日だなんて気付いていない。
嘘のようだが、本当の話なのだ。それは昨年実証済み。
昨年、私は奥様の誕生日が近付いても、一切話題にしなかった。
それまで毎年、彼の立場を気遣い、妻のプレゼントを準備する
よう勧めたりもしていたが、ちょっと意地悪をしてみたのだ。
私が話題にしなければ、彼はこっそりプレゼントを準備して
妻に渡すのではないか?なんて考えたりもしながら。
ところがやはり彼は、綺麗さっぱり忘れていたようで、妻から
「今日は何の日か忘れているのですね」と恨みつらみを綴った
メールが届いてやっと思い出したのだ。
私の手前、忘れているフリをしている訳ではない。忘れっぽい
性格なのだ。もちろん、子供の誕生日や妻の誕生日がいつであるか
ということは知っているのだが、過ぎてしまってから思い出したりする。
さて、彼に「この週末は、日曜に帰宅します。」と告げられて
奥様は大慌てだった。奥様にとっては一大事である。案の定、
独りよがりにあれこれと土曜の計画を練っていたようで、
「あなたには関係ないでしょうけれど、土曜は私の誕生日です。
ケーキを買うと子供に約束しました。あなたも必ず在宅してください。」
とメールを寄越した。
そのメールで何の日か気付いた彼は、笑いながら私に言った。
「レイコ、知っていたの?」
私はおどけた顔で「全然知らなかったわ」と微笑んで見せた。
彼は満足そうに微笑んで「大丈夫だよ。土曜はレイコと過ごす。
ヤツの誕生日なんて関係ないよ。」と言った。
そう、私の「可愛い嫉妬心」を垣間見たつもりの彼は、
まんざらでもない様子だった。
奥様ったら可哀想に。今までは、誕生日に彼からなにがしかの
アクションを期待していたのだろうけれど、今年は自ら『誕生日』に
ついて提案するなんて。みじめね。子供が楽しみにしているから、
なんて言ってるけれど、意地でも自分の誕生日には在宅させようと
目論んでいるに過ぎない。目に見えない「愛人」に対する意地かしら。
奥様からはどんどんメールが届いている。
「あなたの義務なんだから、果たしてください。」
「仕事の調整をつけて、土曜は必ず帰ってください。」
「お願いします。」
ダメよ、奥様。
だから言ったでしょう?
何かを期待するとつらいだけだ、って。
うふふ。
奥様はきっと、したり顔で手ぐすね引き引き、彼の帰宅を
待っているだろうけれど、世の中そんなに甘くない。
私は彼に言った。
「ごめんなさい、今週の日曜はどうしても外せない用事があるの。
無理ならいいんだけど、土曜に会えないかしら?」
いつものように土曜に帰宅し、日曜に私と会うつもりだった彼は
私の申し出を快諾し、当然のように妻に連絡した。
あら。わざと用事を入れたりした訳じゃないのよ。
偶然ってあるのねー、本当に日曜は都合が悪いの、おほほ。
彼は、土曜日が妻の誕生日だなんて気付いていない。
嘘のようだが、本当の話なのだ。それは昨年実証済み。
昨年、私は奥様の誕生日が近付いても、一切話題にしなかった。
それまで毎年、彼の立場を気遣い、妻のプレゼントを準備する
よう勧めたりもしていたが、ちょっと意地悪をしてみたのだ。
私が話題にしなければ、彼はこっそりプレゼントを準備して
妻に渡すのではないか?なんて考えたりもしながら。
ところがやはり彼は、綺麗さっぱり忘れていたようで、妻から
「今日は何の日か忘れているのですね」と恨みつらみを綴った
メールが届いてやっと思い出したのだ。
私の手前、忘れているフリをしている訳ではない。忘れっぽい
性格なのだ。もちろん、子供の誕生日や妻の誕生日がいつであるか
ということは知っているのだが、過ぎてしまってから思い出したりする。
さて、彼に「この週末は、日曜に帰宅します。」と告げられて
奥様は大慌てだった。奥様にとっては一大事である。案の定、
独りよがりにあれこれと土曜の計画を練っていたようで、
「あなたには関係ないでしょうけれど、土曜は私の誕生日です。
ケーキを買うと子供に約束しました。あなたも必ず在宅してください。」
とメールを寄越した。
そのメールで何の日か気付いた彼は、笑いながら私に言った。
「レイコ、知っていたの?」
私はおどけた顔で「全然知らなかったわ」と微笑んで見せた。
彼は満足そうに微笑んで「大丈夫だよ。土曜はレイコと過ごす。
ヤツの誕生日なんて関係ないよ。」と言った。
そう、私の「可愛い嫉妬心」を垣間見たつもりの彼は、
まんざらでもない様子だった。
奥様ったら可哀想に。今までは、誕生日に彼からなにがしかの
アクションを期待していたのだろうけれど、今年は自ら『誕生日』に
ついて提案するなんて。みじめね。子供が楽しみにしているから、
なんて言ってるけれど、意地でも自分の誕生日には在宅させようと
目論んでいるに過ぎない。目に見えない「愛人」に対する意地かしら。
奥様からはどんどんメールが届いている。
「あなたの義務なんだから、果たしてください。」
「仕事の調整をつけて、土曜は必ず帰ってください。」
「お願いします。」
ダメよ、奥様。
だから言ったでしょう?
何かを期待するとつらいだけだ、って。
うふふ。
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