後悔しても知らないわよ、ダーリン
2003年3月18日彼の妻の気分はかなり盛り上がっているようだ。
何せ、ここのところ彼との間は膠着状態が続いていたので
妻は、不満や憤りを爆発させる着火剤に飢えていた。
ここへ来て、「夫の彼女かもしれない女」から電話があって、
轟々と燃え盛る炎の中に立たされた心境なのだろう。
奥様、心が躍りますか?(笑)
彼に届いたメールによれば、妻は遂に彼の持ち物を調べたという。
とはいえ、今までだって彼には告げなかっただけで、ずっと調べて
いただろう。これといった収穫が無かったから、騒がなかっただけだ。
自宅に帰ることになって、一番心配だったのが、妻に見られて
困るものを彼が持ち帰りはしないか、ということだった。
実は彼は会社の場所を妻には知らせていない。電話番号は
知らせてあるが、住所は伏せてあった。私が勤めていることを
知られるとまずいというのも理由の一つだが、一番の理由は、
会社に来て修羅場を演じられては困るからである。
その昔、彼の妻は子供を連れて、真昼間に会社にやって来た。
社員達の居る前で、なりふり構わず彼に詰め寄る姿は、今でも
社内の語り草だ。あんな醜態は二度とごめんだという訳で今まで
二度の移転をしたのだが、彼は妻には告げなかった。
毎日帰宅することになれば、名刺や書類も持ち帰ることになる。
それらをどうするかと考えた結果、彼は毎日車に鞄を隠してから
帰宅し、また出勤する際に車から持ち出す、ということに決めた。
それなのに彼ときたら、早速自宅に鞄を持ち帰り、妻に全て
調べられてしまったのだ。会社の場所も、携帯電話も、それから
取引先の女性社員に渡す予定で買い求めた、ホワイトデーの
お返しまでも全て見られてしまったのだ。
もっとも、ホワイトデーのお返しに関しては、妻をやり込めるのには
効果的だったようだ。妻は毎年彼にチョコレートを準備しているが
ここ2年ほど、彼はお返しをしたことがなかったのだ。
案の定、そこを指摘する悲劇のヒロイン調メールが届いていた。
自分のチョコは義理チョコにも劣るんだって自覚すればいいのに(笑)
妻は、そのお返しの品を「彼女」とやらに渡すと勘違いしている
ようだったが。
彼は今までだって、何度も見られては困るものを安易に持ち帰り、痛い
目に合っている。だから今回もきっといつかはヘマをするだろうと踏んで
いたが、こんなに早くにその日が訪れるなんて、さすがに唖然とした。
もちろんミスは誰にだってある。ミスしたときに、事の重大さを認識
するかどうかは、次に繋がる鍵ともなるのだが、彼の場合は認識度
ゼロである。妻からのメールを転送してくる段階で、私に告げて然るべき
なのに、「何言ってきてるのか、ちゃんと読んでないんだ」などと
うそぶいていた。しかも、バカみたいに相手をしているようで、
その理由は「妻がどこまで何を知っているのか探るため」だと
言いながらも、妻からのメールをちゃんと読むわけでもなく、
会社の場所を知られたことさえも、さほど気にしていない様子。
さすがに私も呆れてしまった。
ミスをしたことを責めているのではない。
認識の甘さに、自覚の無さに、意識の温度差に私はうんざりして
しまったのだ。どうせいつかはこうなると思ってはいたが、
これを見過ごすことは出来ない。面倒だという気持ちを辛うじて
抑えて、私は誠心誠意、彼を「罵倒」した。
馬鹿じゃないの?
呆れたわ。
自覚の無さ、意識の薄さに落胆よ。
うんざりだわ。
最初は平謝りだった彼も次第に機嫌が悪くなってきた。
「よくもまぁ、それほど人のことを罵倒できるものだ」と
言う彼に向かって、私は言い捨てた。
「人の罵倒に感心している暇があるなら、
自分の馬鹿さ加減を嘆いたらどう?」
さすがに彼は激昂した。悪いことは重なるもので、同じ頃、妻から届いた
メールには、また「鍵をしめてやる」と書いてあったようだ(苦笑)
私は妻と彼との成り行きを見守るつもりで、彼の相手をするのをやめた。
しばらくすると彼からメールが届いた。また泣きのメールだ。
妻とは別居することにします。
レイコは俺を馬鹿にしているんだろうね
君の冷たい笑いを想像しています
心を支えきれない
もうダメだ
・・・なんて。
私はこんな女みたいな男を愛した覚えはない。百歩譲って、
彼が今苦しい状況に居るからだとしても、この調子では
これから先、妻との長期戦を闘い抜けるとは到底思えない。
妻の言動に右往左往して私に当たり散らし、冷静さを失って
隠すべきをも隠せないなんて、そんな精神状態では先が思い
やられる。大体、離婚調停の申し立てさえもせず、弁護士の選定すら
出来て居ないのに、こんな初歩段階で泣きを入れてどうするのだ。
私は短いメールを返した。
「馬鹿になんてしていないわ
泣き言を言わなければならないほどの
行動を起こしたわけでもないでしょう」
私が彼を鼓舞するつもりで送ったメールも、彼の心には
届かなかったようで、彼は二度と連絡しないと返事を寄越し、
メールも電話も拒否設定したようだった。
彼からのメールはホットメールから届いていたので
私はすかさず彼のメールフォルダを設定して確認した。
そう、このアドレスのパスワードは私が設定したのだ。
妻からは狂ったようにメールが届いていた。
彼の送信履歴によれば、彼は妻に対して別居を宣告している。
そして、なんと妻に「殺してやりたい」とメールを送っていた。
妻は彼を罵倒していたのに、突然態度を豹変させて
聖母マリアのような語り口でメールを送ってきていた。
こんな馬鹿女に翻弄されるなんて可哀想なダーリン。
実家に帰った彼に代わって、私が妻に返信してやった。
「死ね」
私はダーリンの心を誰よりもよく知っているのよ(笑)
似非聖母マリア様は、「私には子供が居るから死にません。
そう思うのならばあなたが殺して下さい。」と送ってきた。
笑わせるんじゃないわ。散々自殺を仄めかしておいて今更
何だっていうのよ。
明け方近くに電話すると、彼の電話は相変わらず拒否設定の
ままだった。二度と連絡しないって本気なの?そんなことしても
何も解決しないわ、ダーリン。
ダーリンの言動は、頭の悪い妻に酷似してきている。
だからあれほど言ったじゃない。馬鹿の相手をすると
馬鹿がうつるって。
二度と連絡しない? ・・・・結構。
後悔しても知らないわよ、ダーリン。
何せ、ここのところ彼との間は膠着状態が続いていたので
妻は、不満や憤りを爆発させる着火剤に飢えていた。
ここへ来て、「夫の彼女かもしれない女」から電話があって、
轟々と燃え盛る炎の中に立たされた心境なのだろう。
奥様、心が躍りますか?(笑)
彼に届いたメールによれば、妻は遂に彼の持ち物を調べたという。
とはいえ、今までだって彼には告げなかっただけで、ずっと調べて
いただろう。これといった収穫が無かったから、騒がなかっただけだ。
自宅に帰ることになって、一番心配だったのが、妻に見られて
困るものを彼が持ち帰りはしないか、ということだった。
実は彼は会社の場所を妻には知らせていない。電話番号は
知らせてあるが、住所は伏せてあった。私が勤めていることを
知られるとまずいというのも理由の一つだが、一番の理由は、
会社に来て修羅場を演じられては困るからである。
その昔、彼の妻は子供を連れて、真昼間に会社にやって来た。
社員達の居る前で、なりふり構わず彼に詰め寄る姿は、今でも
社内の語り草だ。あんな醜態は二度とごめんだという訳で今まで
二度の移転をしたのだが、彼は妻には告げなかった。
毎日帰宅することになれば、名刺や書類も持ち帰ることになる。
それらをどうするかと考えた結果、彼は毎日車に鞄を隠してから
帰宅し、また出勤する際に車から持ち出す、ということに決めた。
それなのに彼ときたら、早速自宅に鞄を持ち帰り、妻に全て
調べられてしまったのだ。会社の場所も、携帯電話も、それから
取引先の女性社員に渡す予定で買い求めた、ホワイトデーの
お返しまでも全て見られてしまったのだ。
もっとも、ホワイトデーのお返しに関しては、妻をやり込めるのには
効果的だったようだ。妻は毎年彼にチョコレートを準備しているが
ここ2年ほど、彼はお返しをしたことがなかったのだ。
案の定、そこを指摘する悲劇のヒロイン調メールが届いていた。
自分のチョコは義理チョコにも劣るんだって自覚すればいいのに(笑)
妻は、そのお返しの品を「彼女」とやらに渡すと勘違いしている
ようだったが。
彼は今までだって、何度も見られては困るものを安易に持ち帰り、痛い
目に合っている。だから今回もきっといつかはヘマをするだろうと踏んで
いたが、こんなに早くにその日が訪れるなんて、さすがに唖然とした。
もちろんミスは誰にだってある。ミスしたときに、事の重大さを認識
するかどうかは、次に繋がる鍵ともなるのだが、彼の場合は認識度
ゼロである。妻からのメールを転送してくる段階で、私に告げて然るべき
なのに、「何言ってきてるのか、ちゃんと読んでないんだ」などと
うそぶいていた。しかも、バカみたいに相手をしているようで、
その理由は「妻がどこまで何を知っているのか探るため」だと
言いながらも、妻からのメールをちゃんと読むわけでもなく、
会社の場所を知られたことさえも、さほど気にしていない様子。
さすがに私も呆れてしまった。
ミスをしたことを責めているのではない。
認識の甘さに、自覚の無さに、意識の温度差に私はうんざりして
しまったのだ。どうせいつかはこうなると思ってはいたが、
これを見過ごすことは出来ない。面倒だという気持ちを辛うじて
抑えて、私は誠心誠意、彼を「罵倒」した。
馬鹿じゃないの?
呆れたわ。
自覚の無さ、意識の薄さに落胆よ。
うんざりだわ。
最初は平謝りだった彼も次第に機嫌が悪くなってきた。
「よくもまぁ、それほど人のことを罵倒できるものだ」と
言う彼に向かって、私は言い捨てた。
「人の罵倒に感心している暇があるなら、
自分の馬鹿さ加減を嘆いたらどう?」
さすがに彼は激昂した。悪いことは重なるもので、同じ頃、妻から届いた
メールには、また「鍵をしめてやる」と書いてあったようだ(苦笑)
私は妻と彼との成り行きを見守るつもりで、彼の相手をするのをやめた。
しばらくすると彼からメールが届いた。また泣きのメールだ。
妻とは別居することにします。
レイコは俺を馬鹿にしているんだろうね
君の冷たい笑いを想像しています
心を支えきれない
もうダメだ
・・・なんて。
私はこんな女みたいな男を愛した覚えはない。百歩譲って、
彼が今苦しい状況に居るからだとしても、この調子では
これから先、妻との長期戦を闘い抜けるとは到底思えない。
妻の言動に右往左往して私に当たり散らし、冷静さを失って
隠すべきをも隠せないなんて、そんな精神状態では先が思い
やられる。大体、離婚調停の申し立てさえもせず、弁護士の選定すら
出来て居ないのに、こんな初歩段階で泣きを入れてどうするのだ。
私は短いメールを返した。
「馬鹿になんてしていないわ
泣き言を言わなければならないほどの
行動を起こしたわけでもないでしょう」
私が彼を鼓舞するつもりで送ったメールも、彼の心には
届かなかったようで、彼は二度と連絡しないと返事を寄越し、
メールも電話も拒否設定したようだった。
彼からのメールはホットメールから届いていたので
私はすかさず彼のメールフォルダを設定して確認した。
そう、このアドレスのパスワードは私が設定したのだ。
妻からは狂ったようにメールが届いていた。
彼の送信履歴によれば、彼は妻に対して別居を宣告している。
そして、なんと妻に「殺してやりたい」とメールを送っていた。
妻は彼を罵倒していたのに、突然態度を豹変させて
聖母マリアのような語り口でメールを送ってきていた。
こんな馬鹿女に翻弄されるなんて可哀想なダーリン。
実家に帰った彼に代わって、私が妻に返信してやった。
「死ね」
私はダーリンの心を誰よりもよく知っているのよ(笑)
似非聖母マリア様は、「私には子供が居るから死にません。
そう思うのならばあなたが殺して下さい。」と送ってきた。
笑わせるんじゃないわ。散々自殺を仄めかしておいて今更
何だっていうのよ。
明け方近くに電話すると、彼の電話は相変わらず拒否設定の
ままだった。二度と連絡しないって本気なの?そんなことしても
何も解決しないわ、ダーリン。
ダーリンの言動は、頭の悪い妻に酷似してきている。
だからあれほど言ったじゃない。馬鹿の相手をすると
馬鹿がうつるって。
二度と連絡しない? ・・・・結構。
後悔しても知らないわよ、ダーリン。
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