奥様ったら。

彼は、妻に調停の場で話し合うことを告げて以来、
妻とは話していない。妻は納得がいかないので
話し合いたいと何度も訴えて来るが、彼は放置している。

話し合いですって？奥様。

今まで信じられないほどの長い時間を割いて、ダーリンは
あなたと話してきたわ。でも、あなたは彼に寄生することしか
考えてないから、子供をダシにして、自分を愛するように命令する
ばかり。馬鹿みたい。あなたとは「話し合い」になんてならないのよ。
それに彼はあなたみたいに暇じゃないの。

今日、ミーティングの最中に彼の携帯電話に着信があった。
このところ、重要な案件が立て続けに舞い込んできて、
彼は電話にはとても神経質になっているのだが、その電話は
妻からだった。彼は保留にして切ったのだが、妻はしつこく何度も
かけてくる。仕事中の夫に対して、「私を愛して」とくだらないことを
主張するために。幼稚で馬鹿げた行為ではないか。彼の立場を
どう考えているんだろう。良い恥さらしだ。彼も彼だ。さっさと
着信拒否すればいいのに、放っておくから恥をかくのよ。

彼と二人きりになって、あらためて彼の携帯電話を見ると
妻からまた同じようなメールが届いていた。彼も私もうんざりた。

妻の主張はこうだ。

『子供が大事なのだから、まず子供のことを考えましょう。
一度は愛した相手なのだから、ちゃんと愛しなおしてほしい。
私は一度も愛されたと感じたことがないので愛されていると
感じさせて欲しい。話し合いをしましょう。調停みたいな場所で
第三者に話しても仕方がないでしょう。自分を正当化しようとして
いるんでしょう？私たちの問題なんだから、私たちで話しましょう』

奥様、彼に愛されていると感じたこと、一度もないんでしょ？（笑）
それなのに『一度はあなたが愛した相手だから』だなんて、
矛盾よねー？もともと彼はあなたを愛していなかったのよ。
だから「愛しなおす」も何もないの。
彼が言ってたわー。「今にして思えば、ヤツのことは一度も愛しいと
思ったことがなかった」ってね。

私は休憩がてら、彼の携帯から妻にメールした。

「君は暇なのかもしれないけど、こっちは忙しいんだ。あんな真似を
すると君が恥をかくだけだ。話し合いは調停の場でする。君も自分の
言い分に自信があるなら調停で正々堂々と主張すればいい。君を
愛することはできないからそれを踏まえた上で、子供にとってベストな
道を選択するつもりだ。子供を言い訳にするのはいいかげんやめたら
どうだ。君も成長すべきだ。こちらは考えを変える気は全く無いので
それだけはハッキリと伝えておく。」

あー、忙しいったら、ないわね。