私に嘘をついていた彼のことを、私は軽蔑した。

彼のことは、とても愛している。
愛というのはやっかいで、愛する気持ちが深ければ深いほど
憎しみも深くなる。「愛憎」とはよくいったものだ。

「彼があんなつまらない嘘をつくなんて・・・・。」
「家ではそれなりに上手くやっていたなんて・・・・。」

なーんてね。さー不倫ちゃんの醍醐味でもある
自己陶酔の時間がやって参りました。

辛い。でも辛いことが気持ちいい。
だから不倫ってやめられないの、うふ。
だって女はいつでもヒロインでなくちゃ。
奥様だってそうでしょ?

話を戻そう。

しばらくすると彼は、可哀想なくらいに素直に私に詫びた。
「嘘をついたりして、すまなかった。
今度からきちんと話すようにするよ・・・。」

「イイノ。ツマラナイコトヲセメタリシテゴメンナサイ。」

・・・なんて言わない。

私は素直に詫びた彼を鼻で笑って言ってやった。

ふん(笑)
あなたの言葉なんて、二度と信じない。
嘘つき。私はあなたのやったように、あなたに嘘をついて
あなたを傷つけてやる。裏切られたんだから裏切ってやるわ。
 
彼はキレた。

謝っているのに、俺を脅すのか。
したいなら好きにすればいい。
わざわざ俺に告げずに、したいようにしろ!

馬鹿ね、何を言ってるの、ダーリン。
あなたに宣言するから意味があるのよ(笑)

愛するあなたが大事にしないなら、自分で自分を
ズタズタにしてやるわ。私を愛しているあなたは、
きっと深く傷つくわね。

そう、傷つくといいわ、存分にね。

さようなら、ダーリン。 
私は彼の部屋をあとにした。

*******

男というのは、「そういう状態にいる女」を嗅ぎ分ける能力が
あるのだろうか。ほどなく、おおよそ品が良いとは言えない車が、
夜道を歩く私の横に停車した。

部屋を飛び出したとき、私はかなりエキサイトしていた。
男たちの誘いに乗ることも厭わないほどに。

だが、男たちに声をかけられたその時、私はあることに思い至り、
考えに耽っていた。歩調を緩めず歩き続ける私を見て、諦めたように
車は去っていった。

私はひたすら考えた。
「ダーリンったら、なんてドジでマヌケなんだろう」
隠すなら、領収書を捨てればいいのに(笑)

いつだってそうだ。彼は隠し事や嘘について、根気が続かない。
綿密な計画を練ることや、根気良く騙すということが苦手なのだ。

馬鹿ね。

そう思うと同時に、私は彼のそういうところをとても愛しく思った。
周到に嘘をつけないところ。面倒になって途中で放って
おくところ。良く言えば大らか、悪く言えばいいかげん(笑)

一番馬鹿なのは、そういう彼を愛している自分なんだろうけど。

可笑しくてこらえ切れず、笑いながら夜道を歩く私はさぞかし
不気味だったことだろう。

一時間ほど歩き続けて彼に電話をする。
部屋を出た瞬間から、電話は着信拒否をし、メールも受信拒否
していたので、彼はかなり怒っていた。そのくせ私を心配している(笑)
彼のイラついた声に、私は挑戦的な言葉を投げつけながら、
すでに彼を許していた。愛は素晴らしい(笑)

彼は車を飛ぶように走らせ、迎えに来た。
カフェで冷えた体を暖めながら待っていたのに、
彼が到着する直前に店を出て、いかにも寒さに
震えていたといった様子で車に乗り込む。

おまえは馬鹿だ、と私を罵る彼を横目に見つつ、
最後の仕上げに取り掛かる。

私はそっと俯き、ポロポロと涙をこぼし、静かに泣いた(笑)

ついさっきまで、強気な態度で怒りをあらわにしていた私が
今度はシクシク泣いていることに驚き、彼は慌てて車を停めた。
そしてそっと私の頭を抱えるようにして抱き、「ごめんな」と謝る。

ふん(笑)
また嘘をつくくせに。
また騙すくせに。

・・・そんな風に心の中で悪態をつきつつ、
彼の腕に抱かれて舌を出す。
悲しげに泣き続けながら。

喧嘩しても適度なところで私が幕を引く。
そろそろお腹もすいた頃だったし(笑)

だったら最初からつまらないことで怒らなければいい、ですって?
ダメダメ。きちんと釘を刺しておかないと。これも教育なのよ(笑)

当分の間、彼とはDVDを観ない。
だって私は怒っているんですもの、おほほ。

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