種明かし。
2002年7月20日私は思っていた。
きっと彼は私を罵倒し、殴りつけ、別れを叩きつけるだろう、と。
以前、私に別の男の影を見たとき、確かに彼はそうしたのだ。
でも今回は違った。
私は、「死ぬ」とまで言った彼を意外に思うと同時に、
妙に感心した。さすがね、ダーリン。
あなたはちゃんと私を解っている。
今度の相手はちょっと違う、そうよね?
私があの男に惹かれていることを察知した。そうでしょ?
私の心の乱れを感じ取ったからこそ、あなたはそんなに混乱
したんでしょう?
彼と出会ってから、別の男と没交渉だったかといえば
実はそうでもない。だが、それらは当て付けであったり、
憂さ晴らしであったり、単純に心の解放でしかなかったのだ。
当然のことながら彼が最優先だったし、かなり慎重だった。
しかし…今回に限っては、そうではなかった。
私を責め立てたその夜、彼は街で浴びるように酒を飲んでいた。
その時になって、やっと私は考えに耽ることが出来た。
相手の男は、申し分のないいい男だった。
その男と語り合うと、時間がいくらあっても足りないほどに
充実していたし、また会おうと言われたら拒否する理由は
見当たらなかった。
ではその男とこれからどうするというのだ?
答えは簡単だ。
「これから」なんて、ありえない。
その男と私の間に未来があるわけでもなく、
それを思い描いたりはしない。
好もしい相手、ただそれだけのことだ。お互いに。
私はやはり、今の彼を愛していた。
・・・愛しているなら他の男と寝るな?
いや、寝たけど、愛してるの。
・・・・
愛してると言いながら、彼を傷つけた自分を思った。
あの強い男が、私のことで泣いたことを思った。
確かに戸惑いを感じたが、なぜか、嫌悪感は無かった。
我を忘れて取り乱した彼を思い、やがて愛しく思った。
なんのことはない。
私はとうの昔に悟っていたのだ。
彼の中に潜む脆さや、弱さを。
だからこそ私は彼を促し、妻を悪者に仕立て上げたんじゃないか。
この私が洗脳しなければ、善人で弱く脆い彼は、妻の気持ちを思いやり、
私との板ばさみになってもっと苦しんだに違いない。
フフフ、お笑いよね。
「強い」彼に仕立て上げていたのは、この私。
彼が「妻の気持ちが解った」と言ったのも道理だ。
そういう優しさを内包している彼を好きなんだし。
(矛盾ね 笑 )
あとは彼次第だ。
彼がこれから先、私にとって「弱い」存在であり続けるならば
私たちの関係は揺らいでしまう。
(つづく)
きっと彼は私を罵倒し、殴りつけ、別れを叩きつけるだろう、と。
以前、私に別の男の影を見たとき、確かに彼はそうしたのだ。
でも今回は違った。
私は、「死ぬ」とまで言った彼を意外に思うと同時に、
妙に感心した。さすがね、ダーリン。
あなたはちゃんと私を解っている。
今度の相手はちょっと違う、そうよね?
私があの男に惹かれていることを察知した。そうでしょ?
私の心の乱れを感じ取ったからこそ、あなたはそんなに混乱
したんでしょう?
彼と出会ってから、別の男と没交渉だったかといえば
実はそうでもない。だが、それらは当て付けであったり、
憂さ晴らしであったり、単純に心の解放でしかなかったのだ。
当然のことながら彼が最優先だったし、かなり慎重だった。
しかし…今回に限っては、そうではなかった。
私を責め立てたその夜、彼は街で浴びるように酒を飲んでいた。
その時になって、やっと私は考えに耽ることが出来た。
相手の男は、申し分のないいい男だった。
その男と語り合うと、時間がいくらあっても足りないほどに
充実していたし、また会おうと言われたら拒否する理由は
見当たらなかった。
ではその男とこれからどうするというのだ?
答えは簡単だ。
「これから」なんて、ありえない。
その男と私の間に未来があるわけでもなく、
それを思い描いたりはしない。
好もしい相手、ただそれだけのことだ。お互いに。
私はやはり、今の彼を愛していた。
・・・愛しているなら他の男と寝るな?
いや、寝たけど、愛してるの。
・・・・
愛してると言いながら、彼を傷つけた自分を思った。
あの強い男が、私のことで泣いたことを思った。
確かに戸惑いを感じたが、なぜか、嫌悪感は無かった。
我を忘れて取り乱した彼を思い、やがて愛しく思った。
なんのことはない。
私はとうの昔に悟っていたのだ。
彼の中に潜む脆さや、弱さを。
だからこそ私は彼を促し、妻を悪者に仕立て上げたんじゃないか。
この私が洗脳しなければ、善人で弱く脆い彼は、妻の気持ちを思いやり、
私との板ばさみになってもっと苦しんだに違いない。
フフフ、お笑いよね。
「強い」彼に仕立て上げていたのは、この私。
彼が「妻の気持ちが解った」と言ったのも道理だ。
そういう優しさを内包している彼を好きなんだし。
(矛盾ね 笑 )
あとは彼次第だ。
彼がこれから先、私にとって「弱い」存在であり続けるならば
私たちの関係は揺らいでしまう。
(つづく)
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