回想録

2002年7月8日
彼の妻に私たちの関係がバレたとき、妻は私に電話してきた。
彼が出張中の出来事だ。私と妻は…そう、3時間以上
話したように思う。途中、まだ幼かった彼の子が泣くと、
妻は野太い声で、「ほらー、泣くなー!」と怒鳴りつけていた。

彼の妻は、私が想像していたような女性ではなかった。
「妻は俺の意見を聞かねば何事も決定出来ないような女だ」と
聞かされていたせいで、私は従順な妻の姿を想像していた。
ところが妻は、実に高飛車に物を言う高慢なタイプだった。
もちろん、夫の不倫相手と話しているのだから、
虚勢を張っていた部分はあったかもしれないが。

妻は、自分が夫をここまでに「してやった」と言った。
そして彼を小馬鹿にしたような表現を多用した。
悉く彼をけなした。それは不倫に関することに限らず、
日常生活の彼の癖一つまであげつらっては、笑った。

夫はつまらない男だとアピールして、私を幻滅させようとしたのか。
それとも、あなたの前では見せない姿を、この私は知っているのよ、
という優越感だったのか。

そういう狙いならば、見事に外れた。私は妻に対して
「感性のカケラも無い人ね、お気の毒サマ」と同情しただけだった。

彼の妻は威張りながら依存しているのだ。
最も性質の悪いタイプだ。
(と、性悪女の私に言われちゃってます)

今でもそれは変わらない。
彼を自分の思い通りに操縦しようとするばかりで、
自分で歩こうとはしない。

妻は私と彼の関係について、事細かに尋ねた。
そして自分と夫の性生活についても、赤裸々に語った。
ある種の高揚状態にあったのだろうか、それとも同じ男を
「共有」している奇妙な連帯感がそうさせたのだろうか、
妻は弁舌をふるい続けた。

私は相槌を打ち、しおらしく返事しながら彼を想っていた。
彼の別の一面を垣間見たような気がした。
幻滅するどころか、彼をひどく愛しく感じた。

とりあえず私は妻に向かって、彼を褒めちぎった。
妻が打ち消しても打ち消しても、
「あのような素晴らしいご主人をお持ちでうらやましい」と
一貫して言い通した。「とっても素敵ですよね」と。
妻はいちいち否定していたが、まんざらでもなさそうだった。
そして私に言った。

「私(妻)のこと、羨ましいと思ったりしたワケ?」と。
隠し切れない優越感が滲み出ていた(笑)

( ふん(笑)思うわけないじゃない、お馬鹿さん。
  そんなこともわからないの? )

…その後、妻は「彼女(私)が羨ましい」と、夥しい数の
 メールを彼に寄越すことになるのだが(笑)

妻が「私のおかげで夫は成功した」と言うのを聞けば、
「奥様あっての○○さんですよね〜」と、まるで教祖にかしずく
信徒のような素直さで、同意してやった。
妻は得意気だった。もう妻を止められない。
ますます熱気を帯びる妻の声に、私は少しずつ言葉を挟んだ。

妻が彼の冷たさを歎くと、「あの彼が?信じられない…。」と言って
あとは黙った。妻が「この女には優しくしているのね」と気付くように。

あの人はセックスが終わったあとで背を向けるのよ、と妻は歎いた。

・…いい年をして何て少女趣味なオンナなのかしら。
  男なんて女次第なのよ。私なら、もし背中を向けられても、
  平気よ。セックスの後の優しさなんて、些細なことなのよ、おほほ。
  そんなものにこだわる暇があれば、もっと本質に目を向けるのね。


そう思いつつ「え・・?彼が、・・・ですか・・?」と応える。
妻はあまりにも無防備に私に聞き返した。
「え?あなたには、終わったあとも優しいの?」と。
そんな質問をしてしまった自分を忌々しく思っている様子が伝わってくる。
それでも妻は聞かずには居られないのだ。

やがて、喋ることに充分満足した妻は私に言った。
「同じ男を好きになった者同士、やっぱり気が合うわね。
違う出会い方をしていたら、あなたとはきっといいお友達に
なれたと思うの」と。

気が合うと思うように私が仕向けたのよ、オクサマ。
ごめんなさいね、私、あなたとはお友達になれそうになくてよ、
あしからず(笑)

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