楽しい出来事

今、私と彼の関係は佳境にある。
順調という意味ではなく、最悪という佳境だ（笑）

最近どうも様子がおかしいと思っていた。
彼が妻の話題を避けている。
妻の様子も安定している。

そして昨日のことだ。
彼は猫撫で声の見本のような声色で私に電話してきた。
その優しさに違和感を覚えた私は、当り障りのない会話で
いったん電話を終えたあと、間髪入れずにもう一度電話をした。

「ねぇ。妻に何をしたの？
きちんと言わないと、おしまいよ」

彼は明らかにうろたえていた。
そんなにハッキリと態度に出してしまうなんて、ほんとに
不器用な人ね。イライラするくらいにね。

言葉を濁す彼に私は証拠を掴んでいるかのように
確信を持って問い詰めた。私相手に言い逃れをするなんて
許さない。ちゃんと正直に言うのよ。

そして彼は…

妻を抱きしめて妻の頭を優しく撫でた、と言った。

ふぅん…、、、

私は三度頷いて、受話器を置いた。

「子供のために妻に優しく…」と言いかけていた彼の声は
唐突に途切れた。

ふぅ…。

彼の家は荒んでいる。彼の子が度々問題を起こすからだ。
幼い子供の行動だから、それほど深刻なものではないが、
続け様にやられると親は堪えるらしい。彼もそうだが、
妻の方もかなり参っているんだとか。

彼のことで悩み、子のことで悩み、行き場のない苛立ちを
ぶつけるかのように、妻は激しく子供を打ったという。
痣が出来るほどに。

ふふふ（笑）

「大変だったわね、あなたも辛かったでしょう」と
私があなたを慰めるとでも思ったの？

ふん、馬鹿らしい。

久し振りに心躍る出来事だわ。
覚悟することね、ダーリン…（笑）