臨機応変

2002年5月22日
彼が窮地に立たされた。
厳しい表情で沈んでいる可哀想なダーリン・・・。
相当参っていることはもちろんわかっている。
私は考える。今、この私に出来ることを考える。

ふぅ・・・・・。

「最悪ね」。

口をついて出た言葉は、一瞬にして彼を
怒りのステージに引きずり出した(苦笑)

なんだと?
もう一度言ってみろ!

「最悪だから最悪だと言ってるのよ。
何度でも言うわ。状況はサ、イ、ア、ク。最悪よ。聞こえた?」

彼が拳を握り締めた気配に一瞬、身が縮んだが
彼は私を見下ろしただけで私の前から姿を消した。

しばらく時間をあけて彼と話した。
彼は「傷ついた」と言った。

・・・?

悪い冗談はやめてよ。ムードが暗いからってまさか
その陳腐な言葉で私を笑わせようとしてるの?(笑)

傷ついた、ですって?
傷ついてる暇があるなら対策を練ったらどう?
人生、「傷つくこと」は標準装備なのよ。
今さら自分の傷に自己陶酔してどうなるというのよ、まったく!
穢れを知らぬ乙女でもあるまいし。相手してらんないわね。
どうにかなるサ精神は捨てなさいよね。

・・・・などと罵詈雑言を彼に浴びせかける。

彼が一瞬呆気にとられ、それから私に言い返し始めたのを
見届けて私は考える。

・・・彼は、自分は強く雄々く、つねに前進し、信じた道を
迷うことなく突き進んでいるのだ、と思っているのだろう・・・
自分に脆さや弱さがあることに気付いていないし。
自分が弱っているという自覚もないみたいね・・・。

と。

最悪という言葉に触発されて爆発した彼は、その怒りに
弱さと脆さ散りばめ、まるで母に抱かれようとする
幼い子供のように無防備に私の「優しさ」(のように見えるもの)を
求めていた。

私は淡々とその手を振り払う。

怒りを撒き散らしながら彼は言う。
「俺の気持ちなどお前に解るものか」
「俺の立場を考えてみろ」
「そこまで言うならお前がやれ!」と。

そして最後の最後に言った。
「可哀想だとはこれっほっちも思わないのか」と。

はぁっ・・・・
あなたって全く自分のことをわかっていないのね。

あなたは自分が愛する女に同情されて「嬉しい」と感じる男じゃないのよ。
私があなたを可哀想がることなんて、あくびするより簡単なことなの。
わからないの?私があなたを可哀想と言ったら、あなた、どんな気持ちに
なるの?情けないでしょ?そんなの趣味に合わないでしょ?
言っておくけど私は構わないのよ。今すぐにでもあなたの身体を
かき抱き、頬を寄せて一緒に泣いてあげたって構わない。
むしろ、そうすることの方がずっとずっと簡単なのよ。

解ってないのはダーリン、あなたの方よ。
心を鬼にするって言葉、知ってるかしら・・・

そして私は静かに泣く。彼に同情しているのではなく
彼に怒鳴られてつらいという様子で、泣く。
彼が泣き出してしまう前に。彼が自分を取り戻すために。

私は普段、彼の望むように振舞っている。
優しいだけが取り得で、自分の考えなど一ミリもないような
平凡で落ち着いた彼女、という姿でいることも多い。
正直言って、それが一番楽だし。ふふふ
でもまぁ、臨機応変に行動しないとね。
愛人なんて続けてらんないのよ。

はぁ、疲れた。

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