岐路

妻は全く聞かされていないようだが、彼は今
仕事上の岐路に立たされている。
今うまくやるかどうかで、これからの彼の人生が
変わるほどの大きな分岐点だ。

そこで考えた。

仕事という彼の表舞台では、この先、私の存在が
邪魔になることだってあるだろう。
身辺が綺麗なほうが、信用も高まるのは当然だし
公然の愛人の存在が足枷になる場面も出てくるに違いない。

さて、どうしたものだろう・・・

もちろん私は彼と別れるつもりなどない（笑）
ただ、「表舞台」に立つべきか否かを考えるべきではある。

彼は私がそばに居るのは当然だと思い込んでいる様子。
私がそばに居るとなれば出てくるでろあろうマイナス面には
目を向けず、プラスの面だけを考えて「なんとかなる」と思っているようだ。

困った人ね・・・（笑）

離れるにせよ、そばに居るにせよ、それなりの覚悟は必要なのだ。
細心の注意を払うべきだし、コトを進めるには慎重でなければ。
そう、彼に欠けているのは、思慮深さだ。
愛すべき短所だわ・・・ふふ。

もっとも、だからこそ私と付き合っているのかもしれないけど（笑）

私は彼と話した。仕事の補助をするのは簡単だけど、
それがもたらす悪影響を懸念している、と。
あらゆる問題点を挙げた。
もちろん彼が不機嫌になるのはわかっていて、あえてそうした。

簡単に結論が出ると思っていた彼は、難色を示す私に
次第に焦れてきた。そして最後には怒りをぶつけてきた。

そう、その調子・・・（笑）
それでいいのよ、あなた。
きちんと向き合わなくてはだめなのよ。

時間が経過し、彼は真剣なまなざしで私に語った。

「　最良の方策なんてありえない。
　考えたところで正しい結論など出せない。
　一番確かなものは、俺がオマエを必要としていることじゃないか。
　俺にとっての最善策というなら、俺が『居て欲しい』と強く望んでいることを
　一番に考えてくれ。どんなときにもオマエが必要で大切だ。
　それがもとで失敗するならそれまでのことだ。
　それがもとで失敗をするかもしれないというリスクなんて
　とっくの昔に背負ってるつもりだ。俺を見損なうな。　」

とね。

うーん・・・悪くないわね（笑）
いいわ、あなた。

彼がどういう形で私を必要としているのかが、ハッキリ見えた
その瞬間に心が決まった。

もったいぶっていた訳じゃないのよダーリン・・・

戦場に向かうのに丸腰で、という訳にはいかない。
覚悟という武器と、結束という弾薬を手に私たちは
決死の覚悟で船を出す。うふふ・・・いいわ・・・。

あなたと私はお互いに最高のパートナーだわ・・・
迷いが消えて、久しぶりに穏やかな気持ちの夜だ。

輝ける未来に乾杯（笑）