今思うと笑える。
何がって純粋なころの私。

彼がよく言ってたっけ。
妻とは別れ話をしたとかさ。

別れ話って・・・。

今思うと喧嘩の勢いで彼が怒鳴った、
ただそれだけのこと。

不思議だった。

「もう愛してないから別れてくれ」と
何度も彼が言ってるらしいのに
妻が聞く耳持たずに「私を愛して」とか
言い募ってることが。

そりゃ〜ねぇ。
喧嘩のときの罵詈雑言なんて、
「話し合い」には含まれないわ、ね。

気付いたのはなぜか。

彼が私にも同じことを言うようになったから

(笑)

って笑い事じゃないか?

はっきりと言われる。「別れる!」ってね。

私は涙を滝のように流しながら俯く。
酔いしれているなぁと自覚しながらうっとりする。

でも明後日には抱き合っていることだろう。
お前が大切だと言う彼の囁きを子守唄に。

すでにワンパターンだ。
先が読めるのはつまらない。

喧嘩のときに私は水を得た魚のようになる。
今まで温存してきたネタでじわじわと責める。
感情的に怒鳴ったりはしない。泣いたりもしない。
淡々と嘲笑しつつ諭すように言う。

殴られることもある。

あいつ(妻)と同じだ!と言うのが
彼のキメ言葉。

彼がいかに妻を嫌っているかを知ってる私に
あいつと同じと言うことで私をやり込めたいんだろう。
「ひどい!」という表情を作りながら心の中では
舌を出す。あんな妻、レベルが違う(余裕)

私はあんな妻よりもあなたのことを深く理解しているの
見くびってもらっちゃ困る。

そこまで私のことが嫌なら別れたら?と言ってやる。

実際彼も別れたいと思うことがあるかもしれない。
だけど一方的に別れることで面倒なことになるのが
嫌なんだろう。彼は地雷を前に途方に暮れている。

私はかなり厳しい目で彼を眺めてる。
だから彼の弱点・盲点・矛盾・欲望・・・・思考の
パターンなんて、手に取るようにわかる。
私は彼にそういう素振りを見せないから
きっと彼は自分が君臨していると思い込んでいる。

仲良しのとき(もしくは私の機嫌の良いとき)は
彼が言う戯言も嘘も調子の良いセリフもすべて
受け止めている。ふふふふふ♪

だって彼を愛しているから。

彼の弱点やずるさをあげつらって彼を追い詰めて
何になる?そう、私には彼が必要。
彼にも私が必要。完璧な共依存の関係だ。

普段の私たちは平和なカップルだ。
彼は私を従えて亭主関白ぽく、
私は彼にそっと寄り添い支える優しい女。

喧嘩のときには「本性見たり」、だけど
今となってはゲーム感覚なのだ。
彼は気付いてないけど。

私たちの重要なイベントだ。

私にはあなたが必要・・・。
愛しているわ、可愛い人…。


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